
着物にブーツを合わせるスタイルが、若い世代を中心に人気を集めています。明治時代の女学生から始まったこの組み合わせは、現代のファッションシーンで再び注目され、成人式や卒業式でも見かけるようになりました。本記事では、着物とブーツをおしゃれに着こなすためのポイントや注意点を詳しく解説します。
着物×ブーツは定番になりつつある
着物とブーツの組み合わせは、近年のファッショントレンドとして確実に定着しつつあります。この斬新に見えるスタイルは、実は明治時代にさかのぼる歴史があります。鎖国が終わり西洋文化が流入した明治時代、当時の女子学生たちが袴にブーツを合わせて登校する姿は、時代の最先端を行くファッションとして注目を集めました。
現代においても、この組み合わせは個性的で洗練されたスタイルとして、とくに10代から20代の若い世代に支持されています。成人式では振袖にブーツを合わせる新成人が年々増加しており、卒業式でも袴とブーツのコーディネートが一般的になっています。
SNSの普及により、着物×ブーツのスタイリング写真が多く投稿され、その魅力が広く共有されることで、従来の和装の概念を超えた新しいファッションとして認知度が高まっているのです。
また、着物レンタル店や呉服店でも、ブーツに合わせることを前提とした着付けサービスを提供する店舗が増えています。業界全体がこのトレンドに対応している状況だといえるでしょう。
実用面でも優れており、冬場の成人式や卒業式では防寒対策として機能し、雨天時には足袋が濡れる心配もありません。歩きやすさという点でも草履より優れているため、長時間の移動や立ち仕事が多い場面でも疲れにくいというメリットがあります。
ファッション性と機能性を兼ね備えたこのスタイルは、和装の新しい可能性を示すものとして今後もさらなる広がりを見せることが予想されます。
着物文化の継承という観点からも、若い世代が親しみやすい形で和装を楽しむきっかけとなっており、伝統と革新が融合した現代的な和装スタイルとして確立されつつあるのです。
着物に合わせるブーツの選び方
着物に合わせるブーツ選びは、全体のコーディネートを左右する重要なポイントです。最も適しているのはミディアム丈のブーツで、くるぶしから15センチメートル程度の高さが理想的です。ロングブーツは着物を着た状態での脱ぎ履きが困難で、着崩れの原因になります。z。ブーツのデザインによって印象が大きく変わるため、目指すスタイルに合わせて選ぶことが大切です。編み上げブーツはレトロで可愛らしい雰囲気を演出し、明治時代の女学生スタイルを彷彿とさせます。
ヒールの高いブーツはモード感が強まり、スタイルアップ効果も期待できます。ローヒールのゴツめデザインは、個性的でかっこいい印象を与えることが可能です。色選びは着物の雰囲気に合わせることが基本で、黒、茶、白の3色が最も合わせやすい選択肢です。
着物の地色や柄に使われている色と合わせると統一感が生まれ、帯締めや帯揚げ、髪飾りなどの小物と色を揃えるのも効果的といえます。素材の質感も重要で、光沢のあるエナメル素材はエレガントな印象に、マットな素材は落ち着いた雰囲気になります。
ただし、ファー素材は足元が重く見える傾向があるため注意が必要です。そして実用面では、脱ぎ履きのしやすさが重要なポイントとなります。サイドファスナー付きのブーツやサイドゴアブーツは、着物を着た状態でも楽に着脱できるため推奨されます。
編み上げブーツを選ぶ場合は、紐を緩めやすいデザインのものにするとよいでしょう。着付けの際には必ずブーツを持参し、ヒールの高さを考慮した裾丈の調整をしてもらうことで、美しいシルエットを実現できます。
着物にブーツを合わせる際の注意点
着物にブーツを合わせる際は、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。まず、シーンによってはふさわしくない場合があることを理解しておきましょう。着物は未婚女性の第一礼装とされますが、これは足袋と草履を合わせた場合の話です。ブーツを合わせた着物スタイルはカジュアルな装いとなるため、結婚式や結納などの厳粛な場面では避けるべきです。
成人式や卒業式、観光地での着物体験などでは問題ありませんが、TPOを考慮することが大切です。また、着物のデザインによってはブーツが合わない場合もあります。古典的な雰囲気の強い着物には、ブーツだけを合わせてもちぐはぐな印象になることがあります。
レトロモダンやモード系、ガーリーな着物との相性が良く、全体のバランスを考えたコーディネートが必要です。そして、歩き方にも注意が必要です。
ブーツは歩きやすいため普段通りに歩いてしまいがちですが、着物を着用している時は小股で歩くことを心がけましょう。階段の上り下りでは裾を軽く持ち上げるなど、着物の基本的な所作を守ることが美しい着こなしにつながります。